1. 全体テーマ「まち」について
今学期の common time は、当初の「建築」から一歩広げ、子どもたちが日常と結びつけやすい 「地域」「コミュニティ」 の視点を取り入れたテーマ 「まち」 を設定しました。
建物そのものよりも、人と人のつながりが生み出す生活の意味に光を当て、身近な出来事を「自分ごと」として考える土台づくりに取り組みました。好きなことや楽しい体験を通じて出会い、協働し、コミュニティが形になるプロセスを味わえるようにプログラムを構築しました。
第1週目には、東京ドームシティで街づくりに携わる方々をお招きし、レジャー施設は「楽しい思い出をつくる場所」という視点や、「来た人を笑顔にする」ための発想を共有頂きました。さらにアプリの事例から、使う人の立場に立つデザイン(地図の見やすさ・イベント導線・チケット運用)を学びました。“相手の立場で考える”ことがコミュニティづくりの出発点である、と子どもたち自身も実感が湧いたのではないでしょうか。
「まち」 をテーマに据えたことで、好きの原体験が地域の人・場・仕事とつながり、共感 → 協働 →
表現へと広がっていきました。小さな気づきの連続が、自分の好きや得意を社会で活かす土台へ育っていく——その循環を目指して取り組みました。
私たちcommonは流山おおたかの森にある民間学童として、地域に根ざした学びのデザインを随所に織り込んでいます。
2. 月曜日(つながり・コミュニティ)
月曜日は「まちの人」に注目し、つながりがまちを支えていることを体感する時間としました。初回は 「コミュニティってなあに?」 からスタート。家族・学校・習い事・commonなど、自分がすでに属している複数の居場所に気づき、レゴ/カプラ/工作/キッチン/図書/手芸/折り紙/ベンチでのおしゃべりまで、「民間学童commonの中にある小さなコミュニティ」 を見つけていきました。
その後は 「common タウンミーティング」 を開催。「みんなが笑顔になるまちづくり」を合言葉に、子どもの提案を活動や室内環境へ反映。提案はその場で対話し、必要に応じて 目的・安全・予算 を検討して具体化しました。相手の立場で考える姿勢を育みながら、自身のコミュニティ運営に参画する経験を重ねました。
学期末の学びの共有会(WCD)に向けては、本の推薦文と写真掲示、陳列のビフォー/アフター比較、レゴ/カプラ/工作のタイムラプス記録、キッチンの欲しいもの調査と安全な使い方の確認、ボードゲームのサッカー盤試験導入と順番決め、けん玉検定と保護者参加型WSなどを、“まちの運営者”として子どもたちが主体的に 関われるように進めました。
一連の取り組みを通じて、子どもの声が形になる実感が積み重なり、自分たちのコミュニティへの参画意識が高まっていきました。
3. 火曜日(アート)
1学期を通して、「集合体としての ‘まち’」 を表現しました。
小さな図形をつなぐ/視点のルールを加える/チームで合成する の3軸で探究し、次の流れで進行しました。
- 初回:地図を手がかりに、ペンで小さな三角形の連続から自分の「まち」を制作。お互いに褒め、喜び合い、終了後も大作づくりに挑む姿が見られました。
- 2回目:三角枠へ紙帯を折って貼るペーパークラフト。工程に苦戦しながらも子どもたち同士の教え合いが自然に生まれ、前後関係・重なりを意識した大きな立体物が完成致しました。
- 3回目:一筆書きの道路で共同の common town を拡張。わずかなルールが創造性に火をつけ、線のつながりが秩序を生むことを体感しました。
- 4回目:工作用紙を定規代わりに線を重ね、三角・四角の立方体/パース(消失点)に挑戦。「ビルみたい」「花火みたい」と子どもたちから驚きの声が湧き、視点の切り替えで見え方が変わるおもしろさを味わいました。
- 5回目以降:大きなダンボールに「まち」のオブジェを制作。道をマスキングテープで設計して剥がし、標識・横断歩道・線路・橋・公園・学校・海の生き物など、暮らしのディテールへ表現が広がりました。互いの作品を巡って良いアイデアをリミックス。
- 最終回:立体化と発表に取組みました。道具・素材の扱いに慣れ、「自由」と言われても迷わず動ける力の芽が育まれているのが印象的でした。
4. 水曜日(グローバル・サイエンス)
世界を旅しながら 「まち」を科学の目でとらえる ことをねらいとして進めました。
- 10/1:イタリア – レオナルドの“橋”を割りばしで再現。反復パターン × 協力で構造が立ち上がる体験。
- 10/8:スペイン – ガウディの逆さづり実験/回転双曲面を紹介し、紙コップ・輪ゴムでモデル制作。物理と幾何から曲線の美しさを体感してもらいました。。
- 10/16:オランダ – 環状運河と風車から水管理とエネルギーを考え、エッシャーのテセレーションで規則と変化を表現に挑戦しました。
- 10/23:モロッコ – イスラム文化のタイル装飾とシンメトリーにふれ、正方グリッドでモザイク制作。素材(粘土・釉薬)や工程への関心が広がっていました。
- 11/5・11/12:デンマーク – LEGOで摩天楼づくり。目標30cm超えに挑戦し、高さ・安定・美観のバランスを考えながら取り組んでいました。構造の工夫を観察・リミックス。
- 11/19:アメリカ・Davis – 欧米の道路で見られるラウンドアバウトを体験し、自分で判断して入る/出る難しさと安全ルールを学習しました。
- 11/26:ハンガリー・ブダペスト – 都市史と温泉 × チェス文化を紹介し、6×6のリアルチェスで戦略思考と対話を体験しました。
異文化への好奇心とともに、まちを支える 秩序(ルール)・構造(仕組み)・判断(安全) を、自分の手と頭で確かめる姿が見られました。
5. 木曜日(サイエンス)
「まちの中にあるサイエンス」 をテーマに、流山おおたかの森の自然から建築までをグループで探究しました。
- カプラ100枚で橋づくり:種類・構造・素材の利点を学んでから設計し、組み立て。うまくいかないことにも工夫する試行錯誤をしていました。
- カプラでタワー:Google Earthで街を俯瞰し、身近な構造物を観察。高さ・安定・美観をめぐる協働が広がりました。
- ペーパーブリッジ:A4用紙1枚で強度競争。試行し改善するというサイクルで、仮説 → 実験 → 検証 → 改良を体感しました。
- 流山おおたかの森で地域活動をされている「もりポ」の皆様がゲストとして登場 → おおたかの森の色クレヨンづくり:流山おおたかの森の自然素材(落ち葉など)の収集・乾燥・粉砕・配合を経て、五感で材料科学に触れました。
- 紙パイプの形探究:三角形の丈夫さ/四角形の柔軟さを体感し、パンタグラフの仕組みへの理解が進んでいました。
- 折り紙建築:平行折り・斜め折りの基本からポップアップ構造を設計し、立体の論理を自分の手で体験していました。
観察力・論理性・協働力が高まり、身近な「まち」を支える科学を自分事として捉え直して欲しいと願い活動してきました。
6. 金曜日(キャリア)
「流山のまちと仕事」 をテーマに、レクやゲームでコインを稼ぎながら、仕事の役割とまちの変化を体験しました。
- 海外の暮らしと働き方:オンラインでつながり、自転車社会・文化施設・住まいの手入れなどを学びました。
- 稲作 → みりん → 舟運:田植えレクで基盤を体験し、コインを用いてみりん作り・舟運レースへ。量と品質、協力の必要性を実感していました。
- 農園の開拓:椎茸・長ネギ・ブルーベリーへ広げ、丁寧な収穫を楽しんでいました。
- 都市の変遷:江戸の舟運から鉄道、TX開通までを学び、カプラで団地・鉄道を制作しました。
- 飲食店の仕事体験(アプリ):楽しさだけでなく現場の大変さもエピソードで共有。
- 最終回:稼いだコインで公共・商業施設を建設。足りない分は全班で持ち寄り、協働で完成させました。
働くことが人をつなぎ、まちを育てるという視点を獲得し、自分の役割を考えて未来を形にする力 が育っていました。
7. commonが育てたい5つの力への主なつながり
① 広い視野で考える「思考力」
- 異文化・科学・歴史・構造を横断して、多角的に比較・推論する経験(ラウンドアバウト、テセレーション、パース、橋・タワーの設計)。
- 「小さな要素 → 大きな集合体」 の見方で、秩序や仕組みを理解(アートの集合体表現、LEGO摩天楼)。
② 対話や議論を通してアイデアを伝える「表現力」
- タウンミーティングや展示準備で、提案 → 理由 → 代替案を言葉で伝える練習。
- 制作発表や振り返りで、作品の意図・改善点を言語化(アートの発表、モザイク/折り紙建築の説明)。
③ 思いを形にする「行動力」
- 「欲しいもの調査」「安全確認」「予算検討」など、やりたいを実行に移す段取りを体験。
- コインを使った開拓/施設建設、持ち寄りで完成させる実行力。
④ 社会に目を向ける「課題発見力」
- まちの交通・資源循環・発酵文化・農業の変遷などを踏まえ、地域の課題や可能性に目を向ける。
- 展示や環境整備で、「こうしたらもっと良くなる」を自分から見つける姿勢。
⑤ 他者を理解して協働する「社会性スキル」
- 相手の立場で考える習慣(アプリ事例、まちの運営、順番決め・安全ルール)。
- 役割分担・助け合い・リミックス(他チームの良い工夫を取り入れる)で、チームで成果を最大化。
民間学童commonは、流山を中心とした地域の皆さまと一緒に「まちと共に、子どもたちの試行錯誤を応援し、学びにつなげていくこと」を、これからも大切にしていきます。




















